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上場までの組織構築 ~ある新興市場上場企業の組織作りを一手に引き受けた男が語る~


はじめに

はじめまして。クロスインフィニティ・マネジメントの村田と申します。
このIPO虎の巻では、過去様々なベンチャー企業様に対し、「強い組織」を構築するための採用のアドバイスをさせて頂いた経験や、実際に近年IPOを果たしたベンチャー企業様の組織作りをゼロから手がけさせて頂いた成功体験をもとに、この厳しい経済情勢下で更なる飛躍の一歩としてIPOを果たすための『勝ちパターンの組織作り』についてお話させて頂きます。
ここでご紹介する内容は私の経験の一部ではありますが、皆様の組織作りに少しでもお役に立てば幸いです。

IPO準備企業に共通する課題

多くのベンチャー企業の経営者、管理職クラスの方にお話をうかがうと、IPOを目指す過程においては、営業系や技術系の人材採用には関心が高いものの、「管理系の人材採用は二の次」という考えをお持ちの方が多い印象を受けます。

確かに、売上・利益を上げていくことはIPOを果たすための最重要項目ではありますが、管理部門を強化することも、経営を支える強い組織を作り、そして安定的な成長を遂げていく上では、売上・利益を上げることと同じくらい重要な課題だということは意外と見落とされています。

私が組織作りをお手伝いさせて頂いた、実際にIPOを果たし、その後も成長を続けている企業様の共通項として挙げられるのは、IPO準備の比較的早い段階から組織のコアとなるCFO、管理部長を採用し、組織構築を図っている点です。

IPO準備の早い段階で管理部門を充実させようとすると、そのコストが会社の利益を圧迫することになるため、IPO直前まではできるだけ人員を抑えたいという思いはよく理解できます。

ただ、管理部門の人員を抑えた結果起こる組織の弊害として、

  1. コストを抑えるため、担当者クラスを何名か採用したものの、なかなか定着しない。
  2. 退職の都度、後任を採用することになり、かえって採用コストが高くつく。
  3. 人の出入りが激しい中で、引き継ぎ自体しっかりできておらず、
    社内にノウハウが残っていない。

― 上記のような声をよく聞きます。

上記のような事態を改善するためには、結局はしっかりとしたCFOや管理部長を採用することが必要になります。そして、彼らの入社後、改めて彼らの手により過去に遡って経理や総務関係の各種手続きを修正したり、再度整備して正常な管理部門を創り上げていくことになるため、その分余計な時間がかかってしまいます。そうなってからようやく、「費用対効果を考えれば、はじめからしっかりした人を入れたほうがよかった」と気付く経営者の方も多いようです。

勝ちパターンの組織を作るために

上述のとおり、IPOに耐えうる組織、そしてIPO後も永続的に成長する組織を作るには、「強い管理部門」を持つことが必須条件となっています。それでは、強い管理部門を作るには具体的にはどうすればよいのでしょうか。

その答えは、成功している企業様の組織を分析すると見えてきます。

まず第一に挙げられるのは、成功している企業様を見ると、IPO準備の早い段階から経営者、管理職の方が自ら採用に関わっているケースが非常に多く見受けられるということです。これから一緒に会社を創っていくコアな人材を採用するためには、担当レベルの方に採用を任せるのではなく、経営陣自らが面接で会社のビジョンを語り、そして、どのような組織を作り上げていきたいかを考えながら、積極的に採用に関わっていくことが重要です。

IPOに向けて人を採用することは、現在の自社にはないノウハウを、他企業等で様々な経験を積んできた人を通じて自社内に蓄積し、組織の力を上げていくということを意味します。ただし、ここで肝に銘じておかなければならないことは、採用した人一人一人の力には限界があるという点です。したがって、採用活動においては、人の集合体としての組織、すなわち「チーム」として最大限効果を発揮できる環境を作るという視点を持つことが非常に重要になってきます。

例えばプロ野球のチームでも、構成メンバーが一定の評価のあるスラッガーばかりだったとしても、必ずしも常勝軍団とはならいないことがしばしばあります。強い野球チームには必ずと言ってよいほど“つなぎ役”がいるのと同様に、会社組織を作る場合においても、様々なバックグラウンドを持った人が必要であり、逆にその集合体こそが「強い組織」であると言えます。実際、成功している企業様を見ると、人数をかけられないところには相互補完関係のあるキャリアを持つ方がいて、チームを形成していることがほとんどです。人材の採用においてその点を意識していくと、人が増えていく過程で1+1が単純に2ではなく、3にも4にもなるようなシナジー効果も生まれてきます。

また、野球チームでいうスラッガーとつなぎ役のように、成功している組織では、組織の中での各人の業務分担、ミッションが明確であり、これらが明確であると、各人もパフォーマンスを発揮しやすいものです。そして、各人の業務分担やミッションを“デザイン”していくのがCFOや管理部長であるため、先ほども述べたとおり、彼らを早い段階で採用することが、IPO準備を円滑に進めていく上でも重要になってくるわけです。

IPOには「時間との勝負」という側面がありますが、事前に業務フローがしっかりした組織ができあがっていれば、IPO準備はもちろん、いずれ対応が必要となる内部統制についても、事前にそのことを織り込んだ準備ができるため、対応もスムーズに進むはずです。

縁故採用と中高年の採用について

逆に、負けパターンの組織に共通して言えることは、管理部門の採用において縁故採用が多いことです。

確かに経理財務などはお金を預ける大事なポジションでもありますので、よく知った方にお任せしたい気持ちはわかります。

IPOを目指さなければ、縁故採用中心でも問題ないと思いますが、IPOを果たしてパブリックカンパニーになるということは、ある一定水準の組織が求められるということであり、組織を構成する方々がどれくらいの専門性を持っているかが重要になります。そこでは、縁故関係において生じがちな甘えは許されませんし、経験が足りない方が単に縁故関係というだけでコアなポジションを担っていると、外部折衝時に不安が生じたり、同じチームを組む中途入社のメンバーとの温度差が生じたりと、良い話を聞いた事がありません。

最後にもう一つ。若い経営者のベンチャー企業様の場合、管理部門も若い方で固めたいという話をよく聞きます。ただ、選択肢として、経験豊富な40代、50代の方を迎えるということも残しておいて頂けると、より成功の道は見えてきます。若くてエネルギッシュな会社に、ノウハウ・キャリアを持った経験豊富な方が“守りの要”としていると、最も高い効果が発揮されます。対外的な折衝を任せる際にも信用力があり、バランスのとれた組織として成功していける可能性が高くなると思います。

人材紹介会社など専門家に採用を任せるメリット

専門的な人材紹介会社は、採用という切り口から多くの企業様の組織を見ています。過去様々な『勝ちパターン』『負けパターン』を見ているので、その情報を自社の採用に活かさない手はないと思います。

私も管理部門の専門エージェントとして、経営陣の皆様から組織の現状、そしてこれから創り上げていきたい組織のイメージをうかがい、他の成功企業様の組織作りの話をしながら、一緒に勝てる組織のイメージを作り、共有化しています。それによって、現在は顕在化していないものの、近い将来必要となるであろうスペックを持つ人材へのニーズを把握し、そのニーズに合った方をご紹介できるように心掛けています。

もちろん、ご紹介する人材像についても、経営陣との打ち合わせから詰めていきますので、採用スペックにブレが出ず、採用活動も円滑に進むため、IPOスケジュールを遅らせることなく組織構築ができるというのも、我々を活用していただくメリットだと思います。

単に採用ポジションのスペックを伝えるだけでなく、現在の会社組織や現状の課題などもしっかりと情報共有をすることができれば、先に述べたような強い組織を作り上げる人材を採用することは難しいことではありません。

人材紹介会社の最近のイメージというと、インターネットの求人媒体などと一緒で、採用の母集団を形成する手段の一つと考えられていることが多いかと思います。最近の採用現場においても、募集スペックをあらかじめ作成し、これを契約している複数の人材紹介会社にメールで流し、候補者を募るケースが増えてきました。

確かに優秀な人材を採用するためには、様々な母集団形成のルートを持っていることは良いことですが、折角なら専門の人材紹介会社を有効活用して、より良い人材の採用につなげて頂きたいと思います。

理想を言えば、採用スペックを固める前に、事前に専門的な人材紹介会社との打ち合わせの機会を持つことをお薦めします。私も管理部門の採用の専門家として、様々な企業様にアドバイスをさせて頂いた経験から、ご相談頂いた企業様の現在の組織について把握をし、これからどのような組織を作っていけばよいか、またどのような人材を採用すべきなのかを、『勝てる組織』のイメージから一緒に固めることができます。

実際に近年上場した企業様の組織作りにおいても、経営者、管理職の皆様と私とで情報共有がしっかりできた状態でパートナーとして動くことができたことが、非常に大きな効果をもたらしました。まず、今後どのような組織をどれくらいの期間で創っていきたいかを、早い段階で経営陣から相談を受けていたので採用の順序やヒューマンスキル含め、どのような方がこの企業様で強い管理部門を構築するために必要かの理解を深める事ができ、言葉では語られない部分もこちらでサポートする体制を取る事ができました。

CFOをご紹介させて頂いた後の管理部門の主要ポストをご紹介させて頂く際にも、どのような方が組織に適合するのか、また相乗効果を出せるかなど、皆様の経歴・人柄を知っていることで、吟味した上で候補者の紹介ができましたし、また、候補者の皆様にも単なる仕事内容の案内ではなく、その会社の組織の課題やこれからのキャリアパスなど明確にお伝えすることができたことで、入社後も違和感なく仕事に取り組んで頂くことができました。その結果、外部からの評価も高い管理部門の体制が整備されております。

おわりに

今回は、『勝ちパターンの組織作り』についての導入部分をお話させて頂きました。細かい組織作りについては、それぞれの企業様において異なりますが、この導入部分にズレがなければ、途中のプロセスでの修正はそれほど難しくないので、これから組織を作っていく企業の皆様が、自社の現状を考える一つのきっかけになればと願っています。
IPOは企業成長をさせる一つの通過点であり、その先を見据えた強い組織が今後の成長にとって重要になります。
私もベンチャーに身を置く人間として、熱い想いを持った企業様を応援していきたいと思っています。日本の将来を支える企業様を一緒に作っていきましょう。

( 上場.comより引用 )

株式会社クロスインフィニティ・マネジメント 取締役 村田輝之


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